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集客術

人気店に聞く「利益を生み出すキラーメニュー」

「あの店のあのメニューをまた食べたい」「SNSで見たこのメニュー食べてみたい」……、看板メニューは、多くの飲食店が持つ、お客様を呼びこむ力のあるメニューです。
このメニューが利益をとれれば、なお理想的。
集客力を持ちながら、利益も生み出せれば、それはもはや“キラーメニュー”と言っても過言ではありません。
では、巷には実際にどんなキラーメニューがあるのでしょうか。
今回、五反田にある人気店『大衆食堂スタンド そのだ 五反田店』様に話を伺いました。

【取材協力店】大衆食堂スタンド そのだ 五反田店
五反田の繁華街の一角に位置する、人気の大衆食堂/酒場。大きな暖簾、昭和レトロな内装が特徴的で、近隣に勤めるサラリーマンや近所の方が通うほか、SNSで見たお客様が訪れることも多い。メニュー価格は低く設定されていて、平均客単価は2~3,000円。

 

名物『チャーシューエッグ』

『そのだ』のメニューを見ると、目につくのは赤字で記載されている「名物」の4品。「肉豆腐」「メンチカツ」「アンチョビ煮卵ポテトサラダ」「チャーシューエッグ」です。

「名物」は、メニュー表に目立つように赤文字で書かれている

このうち、特に代表的とも言えるのがチャーシューエッグ。
千切りキャベツの上に薄切りチャーシューを盛付け、さらにその上に半熟の目玉焼きを乗せた一皿です。高さのある盛り付けは、豪快さを感じさせ、また、卵は黄身の赤みが強く食欲をそそる「赤玉」を使用するなど、意外な演出が詰まっています。
グルメサイトで『そのだ』の紹介ページを見ると、チャーシューエッグの写真がズラリ。
店長の竹内様によると
「芸能人がメディアで紹介したこともあって、その時は行列が凄かったですね(笑)」
元々、人気店の人気メニュー。メディアに取り上げられれば、人気の火がより激しく燃えるのは当然です。

最も人気の高いチャーシューエッグ。

利益がとれるメニュー

しかし、このチャーシューエッグ、決して利益率が高いというわけではありません。
店長の竹内様に聞くと
「食材原価率は、ザックリですけど40%くらい」
と教えてくれました。
では、その分どこでバランスを取っているのでしょうか。
「利益率が高いのは、ドリンクももちろんですけど、前菜ですね。名物の「アンチョビ煮卵ポテトサラダ」も利益率が高いメニューの一つです。名物だけに、よく出ますよ(笑)」

利益率を高く設定している「アンチョビ温玉ポテトサラダ」。小さめの皿に盛りつけられていることでボリューム感を感じる。

回転率が利益を押し上げる

加えて、回転率の高さもトータルの利益を押し上げています。
『そのだ』の店内は、コの字型カウンターがメインで、お客様は1~2人で訪れる方がほとんど。椅子も丸椅子で長居に適しているとは言えません。こうした店の造りに加え、立地や価格帯もあり、1~2杯で帰るいわゆる“サク飲み”のお客様も多いそうです。

店内は昭和レトロな造り。コンセプトがメニューや価格設定とマッチしている。

「 “サク飲み”のお客様は、チャーシューエッグのようなガッツリしたメニューではなく、ドリンクと前菜だけといった注文です。また、基本的には回転率を重視しているので、混んできたら「そろそろ…」と促すこともよくありますよ。滞在時間は平均すると60分~90分くらいですかね」

インタビューに応じていただいた竹内店長。「本当はもう一回転すれば、もっと売上は出ると思うけど体力が…(笑)」と質問に気さくに答えていただいた。

軽快なオペレーション

もちろん、回転率を高めるには、オペレーションの軽さも重要。
メニューの大半は仕込み済みで、チャーシューエッグにしても
「チャーシューは厚さ3mm。火が通りやすいので、温めて盛り付けるだけ、と手間をかけずに提供できます」
とのこと。
また、言わずもがなですが、コの字型カウンターなので、注文を取りに行ったり、配膳したりといった手間もほとんどありません。

『そのだ』のチャーシューエッグ。客引き効果の高さが際立って見えますが、その実、立地やターゲット客層、店のつくり、内装、メニュー構成、価格、コストバランス……、店づくりに必要な全ての要素が上手く絡み合い、成立しているものです。
料理単体だけでなく、お店そのものがキラーメニューと考えられるのではないでしょうか。

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