飲食店にとって、メニューの値段設定は利益に関わる重要な要素です。
お客様にサービスやお料理と値段が見合わないと思われれば満足度は上がりませんし、安すぎても利益が取れないので、慎重に検討しなければいけません。
値段を決める時は、原価や固定費、競合店の値段、ターゲット層のニーズなどを加味しながら決めるのが一般的ですが、これらに加えて「数字のマジック」と呼ばれる心理的な効果を取り入れることで、売上アップも見込めるようになります。
今回は、メニューの値段を設定する時に、頭に入れておきたい「数字のマジック」についてご紹介します。
値段を魅力的に見せる数字のマジック
数字のマジックとは、数字の持つ心理的効果を巧みに使って、注意を引き、購買意欲を高める手法。ここでは中でも、メニューの値段を付ける際に役立つ4つの数字のマジックを解説します。
① 端数効果
端数効果とは、切りのいい数字よりも端数が使われていた方が、信憑性が向上するという効果です。
1,000円、2,000円などのキリの良い数字ではなく、それぞれを999円、1,980円のように桁を下げることで直感的に「お得感」や「安さ」を感じてもらえます。
例えば、小鉢メニューの300円を298円にするだけでお得感を感じてもらえるので、満足度向上も見込めます。値段を魅力的に見せたい場合は、端数を上手に活用しましょう。
② ゴルディロックス効果
ゴルディロックス効果とは、3段階の選択肢があった場合、人は無意識のうちに真ん中の選択肢を選ぶ傾向にあるという効果です。
例えば、定食ランチの場合、価格を900円、800円、700円と3段階に設定することで、真ん中が選ばれやすくなります。これは、900円の定食は高価だけど、真ん中の800円はお得だと感じるから。一方、700円のメニューを頼んだ場合、ケチだと思われないかとの心理が働き、選ばれづらくなります。おすすめしたい商品は、真ん中の価格に設定し、売上アップを狙ってみてはいかがでしょうか。
③ アンカリング効果
アンカリング効果とは、最初に与えられた数字(アンカー)を基準に考えることで、その後に提示された別の数字への認識が異なるようになるという効果です。
例えば、本来ならば800円で販売しても利益が出るメニューを、あえて1,000円と表記。その上から赤字で「今だけ800円に値下げ!」などと記載をするだけで、人はお得感を感じ、注文率が上がる可能性が見込めます。
ただし、景品表示法では、このような二重価格表示を行う場合は「最近相当期間にわたって通常価格で販売」している必要があるので、景品表示法に抵触しないか必ず確認しましょう。「〇曜日限定割引」や「ハッピーアワー」など期間限定サービスに使うなどがオススメです。
④ 抱き合わせ効果
抱き合わせ効果とは、ある商品と違う商品をセットで購入すると価格が安くなるように設定して表記することによって、セットで注文した方がお得と感じさせる効果です。
例えば、よく注文の入る、利益の高い商品「枝豆」(480円)と、「お刺身の盛り合わせ」(2,100円)をセットだと2,300円に設定し、単品で注文するより200円ほど安く販売することによって、売上アップが見込めます。
ただし、お客様にとって不要なものを無理に抱き合わせた場合などは、不公正な取引方法として独占禁止法に抵触する恐れがあるので、組み合わせには注意をしましょう。
数字のマジックには、人間の心理に働きかけることで購買意欲を高め、売り上げを伸ばす効果があります。メニューの値段を決める際には、是非これらの法則を活用してみてください。