お肉は冷凍保存することで、消費期限を延ばすことができます。飲食店でも、ロスを防ぐために余った肉を冷凍している方は多いのではないでしょうか。
しかし、解凍して使おうとした時、方法によっては、品質の低下や食感・味が劣化してしまいます。
今回は、お肉の解凍について解説します。
解凍肉の美味しさは「ドリップ」の流出量で変わる
ドリップとは、解凍時や保存中にお肉から出る赤い液体のこと。血液ではなく、お肉の筋肉繊維に含まれる水分や、筋肉内のタンパク質であるミオグロビンが溶け出したものです。
肉の旨味成分も含んでいるので、多く出れば出るほど、旨味や水分が抜けて美味しくなくなってしまいます。
ドリップが出る理由と抑える方法
お肉を冷凍する時、内部の水分が凍結して氷の結晶ができます。これが解凍時に細胞を壊し、内部の水分がドリップとして流出します。これを防ぐためには、ゆっくりと時間をかけて解凍することが重要です。
基本の解凍方法
実際に飲食店で肉を解凍する方法は「冷蔵庫解凍」「流水解凍」「電子レンジ解凍」のいずれかではないではないでしょうか。上記の解説を踏まえ、それぞれの解凍方法とメリット・デメリットをみていきます。
①冷蔵庫解凍
方法:冷凍肉を冷蔵庫に入れ、ゆっくり時間をかけて解凍します。
メリット:時間をかけて一定の温度で解凍することにより、細胞が傷つくのを防げるので、ドリップの流出を最小限にとどめることができます。
デメリット:お肉の大きさによっては2日程度の時間がかかることもあります。そのため、すぐにお肉を使用したい場合には向いていません。
②流水解凍
方法: パッケージもしくはジップロックの袋に入れたままの冷凍肉を、大きめのボウルに入れ、上から流水を当てて解凍します。
メリット: 冷蔵庫解凍よりも短時間で解凍できます。時間がある場合には流水ではなく氷水に浸せば、冷蔵庫解凍よりも早く、流水解凍よりもドリップの流出を抑えながら解凍することができます。
デメリット: 解凍ムラやドリップが出やすく、鮮度が低下しやすいと言われています。また、水を大量に使うことになります。
③電子レンジ解凍
方法: 冷凍肉を電子レンジに入れ、解凍モードを使用するか低いワット数に設定し解凍します。途中でひっくり返すなどの工夫をすると、ムラを防ぐことができます。
メリット: 短時間で手軽に解凍することができます。また、温度を調整しながら解凍を行うことができるため、お肉の表面が過剰に加熱されるのを防ぎます。
デメリット: 熱を伝えて解凍するため、肉の組織が変性しやすく、ドリップが出やすくなります。また、解凍されていない部分や逆に加熱されすぎてしまっている部分があるといった解凍ムラが生じやすくなります。
飲食店でお肉を扱っていれば、冷凍せざるを得ない機会はあるかと思います。そんな時でも、出来る限り質を落とさないために、状況やメニューに合わせ、適した方法で解凍しましょう。