秋。それは“牛すね肉”の存在に心ときめく季節の始まりです。
普段はコスパの良い、気のおけないヤツだったのに、寒い季節になると煮込みにシチューに大活躍を始める部位。化粧っ気のなかったあの娘がふいに見せる大人びた装いにドキドキするような、そんな印象を持たせるのが秋冬シーズンの牛すね肉なのです。
ヒレやサーロインの陰に隠れながらも、調理法によって抜群のポテンシャルを発揮する牛すね肉。今回はその魅力を詳しくご紹介します!
「硬い」ってどういうことですか?
牛すね肉の大きな特徴はまず“硬い”こと。
では、肉が硬いとは、どういうことでしょう?
シンプルに言うと、それは筋繊維の一本一本が鍛えられ、太くなった状態を指します。すね肉は足のつけ根に近く、よく運動する部位なので、筋繊維が特に発達した場所。さらに、よく動かす様々な筋肉が存在することも意味します。
このため筋肉と骨をつなぐ腱や、筋繊維を包む筋膜が、牛すね肉には多く含まれます。これらが複雑に混じりあっているため、牛すね肉は“硬い”のです。
なんで煮込むと美味しいんですか?
しかし、この硬さの理由である腱や筋膜こそが、牛すね肉の美味しさの秘密です。
腱や筋膜の主な成分は、たんぱく質であるコラーゲン。このコラーゲンは加熱を続けると、80℃ぐらいで柔らか~い水溶性のゼラチンに変化します。ゼラチンはご存じゼリーの材料ですね。そうです! この水溶性のゼラチンに変化することが、牛すねの肉質を柔らかくするのです。
最初は硬い肉質なのに、じっくり煮込めば深い旨味を持ったホロホロ食感に生まれ変わるそのギャップは、全国のシェフのハートをわし掴み。シチューやワイン煮、おでんなど、寒い季節向けのメニューに牛すね肉は無類の強さを見せます。
なんで挽くと美味しいんですか?
牛すね肉は非常に旨味が強いことも特徴です。ひき肉の状態でも、牛すね肉はその特徴をいかんなく発揮。ここでもゼラチンが大活躍し、しっかりした弾力と濃厚な旨味を生み出します。
前述のとおり、牛すね肉はしっかりした筋膜を持つ肉。その筋膜が、旨味成分を含んだ水分を筋繊維から流出させにくくする働きも担います。さらに加熱すると生じる豊富なゼラチンが肉汁を吸収。その個性は、特にハンバーグステーキに違いを見せてくれます。内部に肉汁をギュッと閉じ込めた、旨味の濃いジューシーなハンバーグは、牛すね肉ならではの格別の味わいです。
ハンバーグのほかにもラグーソース(イタリア料理で一般的にパスタと併せる肉のソース)をはじめ、牛すねのひき肉には幅広い使い勝手が待っています。
豪州産の牛すね肉はいかがですか?
さて、魅力満載の牛すね肉ですが、モテモテのあまり人気が集まる秋冬シーズンに品薄になりがち。まるでクリスマスに思い切って誘っても振り向いてくれないあの娘のような存在です…。そこで今回、プレコフーズでは国産牛と遜色ない品質の“豪州Wagyu”のすね肉をご用意しました。
豪州wagyuとは、但馬系血統牛と、現地ブラックアンガス牛を交配させたオーストラリア育ちのF1交雑牛。380日以上の長期肥育を行ったロンググレインです。さらに飼料にはアーモンドの殻を配合した香りのよい肉質に育て上げています。
手をかければかけるほど美味しさが際立つ牛すね肉、この新商品をぜひともお試しください!
参考文献:土屋敦 (2015).『男のハンバーグ道』.日本経済新聞出版.