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コスト・手間削減

取材/“手間削減”が紡ぐ居酒屋文化

東京都北区、王子・赤羽・十条のエリアは呑兵衛にとっての“桃源郷”。レトロな居酒屋文化をそのまま現代に持ってきたかのような、長い歴史をもつ大衆居酒屋があちこちに存在します。

そもそもこのエリアは、工場の街として発展してきました。戦前から軍事工場や製紙工場が多く集まり、同時に工場で働く人々の疲れを癒す居酒屋も発展していった経緯があります。そうした酒場文化を今に伝える貴重な店のひとつが、王子駅前にある『山田屋』。100年以上(!)の歴史を誇り、熱烈なファンも多い名店です。

ハムカツや煮ちくわ、牛もつ煮など、短冊に書かれたリーズナブルなメニューは眺めるだけでホッとします。今では珍しい昔ながらのガス式酒燗器や、年季の入った柱時計も相まって、店内は大衆居酒屋らしい独特のレトロな世界観に包まれています。

そんな山田屋、実は2021年から約2年半ほど休業を経験しています。老朽化した店舗のビルを建て替えるために、1Fの山田屋も含めて改修を行っていました。そして営業の再開にあたり、新たにプレコグループを大いに活用いただいてるとのこと。居酒屋マニアを唸らせてきた名店に、プレコがどのように貢献しているのか、5代目店主の山田貴裕さんにお話を伺いました。

【取材協力店】山田屋


東京都北区王子1-19-6
TEL/03-3911-2652 営業時間/16:00~22:30 ※日曜祝日定休
王子駅北口徒歩7分。創業は1910年頃まで遡るという大衆酒場の老舗中の老舗。レトロな雰囲気と変わらない味で、地元民はもちろん、居酒屋マニアやせんべろ好きにも愛され続けている。名物は半熟玉子(そうめん付き)。

先代が引退を決断し、ワンオペでの店舗経営を決意

山田屋で15年間厨房に立ち続ける五代目の貴裕さん


リニューアル前の山田屋さんは、先代にあたる両親と叔父、そして五代目である貴裕さんの4人による家族経営。コロナ禍を機に店舗ビルの建替えを決断します。

「建て替えを決めたのは、コロナ禍の際に休業や時短要請が続いて、お客さんが減ってきた時期でした。建物もかなり古くなっていたので、建て替えるならこのタイミングかなと思ったんです」

ところが、当時は全国的な建築資材の不足など様々な問題が重なり、工期が予想以上に伸びてしまうことに。このことは、山田屋にとって大きな衝撃でした。

「1年間ぐらいの予定だった工期が、結局約2年半かかることが分かりました。それを知った両親と叔父は70代半ばだったので、再開を待たずに引退するという話になったんです。それで私が独りで店を続けることにしました。躊躇は一切無かったですね。自分がやらなければ、という考えだけでした」

急遽独りで店を切り盛りすることになった貴裕さん。建替え後の店舗面積が以前より縮小することに合わせ、思い切って客席も減らし、ワンオペで回すことを決断。まずは独りでも対応できるよう、メニュー数を絞りこみます。そのうえで日々の仕入れ・仕込みの負担を軽減する必要がありました。

プレコを選んだ理由は“手間削減”と“小ロット”

旧店舗からの歴史を知る長机はなかなか見ないロングサイズのもの

食材を仕入れるため、足立市場へ毎朝通っていた貴裕さん。しかし、それを続けるとなると移動と商談で約2時間は時間を取られてしまいます。貴裕さんが直面する課題を解決するパートナーとして浮上したのが、プレコグループでした。

「同業の店に相談すると、よく名前の出る業者がプレコさんだったんです。あと、街中で配送車をよく見かけるので安心感もありましたね。肉・野菜・魚とそれぞれバラバラに発注するより、1社で全て扱っているプレコさんにお願いすれば、手間が省けると思ったんです」

また、プレコが小ロット発注に対応していることも、仕入先選びの大きな決め手だったそうです。

「うちみたいな居酒屋は、メニューの幅が広くて、いろんな食材がちょこちょこと出ます。以前は店の離れに大きい冷蔵庫が置けたんですよ。それもこの建替えで撤去せざるを得なくて、今は店内の冷蔵庫と鮮魚のショーケースだけ。食材のストック場所が減ってしまって、小ロットに対応できる点は業者選びの大きなポイントでしたね」

加工済みの鮮魚を生かして手間削減

“ぶりの柚庵焼き”の仕込み風景。ゆずを使ったタレにぶりを漬け込んでいく

様々なメリットを感じたことで、プレコと取引を開始した貴裕さん。いざ食材が店に届けられると、その品質にも手ごたえを感じたと語ります。

「今まで魚介類は市場に出向いて仕入れていたので、直接品物を見ないことに正直不安な部分もありました。けど、実際にプレコの商品を仕入れてみたら、とても品質が良く驚きました! あと、ルートセールスの方が時々おすすめしてくれる商品も、メニューの幅が広がるので、助かっています」

休業前の貴裕さんは丸の魚を仕入れて、捌くところから仕込みを行っていました。この仕込みに際しても、プレコエフユニットの加工済み鮮魚を手間削減として活用しています。

「例えば、“ぶりの柚庵焼き”。まるごと仕入れていたぶりを、今はフィーレ(三枚おろし)を仕入れて使っています。“銀だらの煮つけ”もうちで人気の品ですが、これもドレス(頭・内臓・尾を除いた状態)を頼んで、それをカットして調理しています。下処理済みの食材によって、仕込みの時間や、内臓を廃棄する手間を減らせたので、メリットが多いと思います」

「ぶりの柚庵焼き」(写真奥右)、「銀だらの煮付け」(写真奥左)。
両者とも山田屋の人気メニュー

受け継がれていく居酒屋文化

「今日はちょっとやってみな」と、スタッフに包丁を持たせる貴裕さん

店舗は2024年6月に無事営業再開。名店の復活に待ち望んでいたファンが押し寄せ、ネットニュースに取り上げられるほどでした。

「再開直後は1ヶ月ぐらい、毎日行列ができていました。歴史がある店なので、メニューを絞ったことへの賛否両論はあります。けれど、“味が変わった、落ちた“という評価をいただいたことは今まで全くないんです」

終始穏やかな口調ながら、芯の強さをどこか感じさせる貴裕さん。「美味しい」と言ってもらえる店の味を守り続けるため、変わり続けることを恐れない老舗の姿が、そこにありました。

また、最近の貴裕さんは手間を削減して確保した時間を、スタッフ育成のために割いているそうです。

「最初は全部自分でやる予定でしたが、仕込みを手伝ってくれるアルバイトの子も出てきて。いま基礎から教えていますが、若手にいきなり魚を捌かせるより、まずはプレコさんから来た加工済みの魚を扱ってもらいます。教える側もその分、じっくりと包丁捌きや味付けのコツを教えることができます」

山田屋が紡ぐ、変わらない味。それは受け継がれ続ける“東京の居酒屋文化”の象徴でもあります。限られた時間を活用し、味を守りながら人も育てる貴裕さんの貴重なお話を伺うことができました。

鮮魚・水産品の仕入れは
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