飲食店を成功させる鍵は、魅力的な「コンセプト」にあります。
どんなに美味しい料理や素晴らしいサービスを提供しても、店舗の方向性や魅力が曖昧だと、お客様の心に響かず競合に埋もれてしまいます。明確なコンセプトがないまま開業してしまうと、お客様に何を提供したいのかが伝わらず、集客や運営に苦労することになりかねません。
本記事では、成功する飲食店には欠かせないコンセプト設計の重要性と失敗しない決め方、また、お店のブランドイメージにもなるメニューの開発について詳しく解説していきます。
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飲食店コンセプトの重要性と基本設計

飲食店のコンセプトは、お店の個性や独自性を表現する重要な要素です。
例えば「本格的な和食を気軽に楽しめる」というコンセプトであれば、高級店のような敷居の高さを感じさせず、かつクオリティの高い和食を提供するという方向性が明確になります。
コンセプトが明確であることで、物件探しや内装、メニュー開発、接客サービスなど、店舗運営のあらゆる面で一貫性のある判断が可能になります。また、スタッフ教育においても「このお店ではこういうサービスを大切にしている」という共通認識が持ちやすくなります。
また、物件探しについては以下の記事でも詳しく解説しております。
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コンセプトが店舗の成功を左右する理由
コンセプトは、お店の「核」となる考え方です。
「イタリアの下町にある家庭的なトラットリア」をコンセプトにするのであれば、内装は温かみのある木材を多用し、テーブルクロスは格式張らないチェック柄を採用。メニューも家庭料理をベースにした親しみやすい構成にするなど、すべての要素がコンセプトと結びつけて考えることができます。

さらに、開業後の様々な意思決定においても、コンセプトは重要な判断基準となります。新メニューの開発や季節のフェアの企画、店舗改装の方向性など、すべての判断をコンセプトに照らし合わせることで、ブレのない店舗運営が可能になります。
このように、コンセプトは単なるお店の「設定」ではなく、経営判断の軸となり、お客様への約束となるものです。だからこそ、開業前の段階でしっかりと練り上げ、ブレのないコンセプトを確立することが、飲食店成功への第一歩となるのです。
成功する店舗コンセプトの3軸
成功する飲食店のコンセプトには、必ず3つの重要な軸が存在します。
以下で、それぞれ詳しく解説します。
①「何を提供するか」という独自性ある商品・サービス
他店にない特別な体験を提供するためには、独自性を持った商品やサービスを提供することが不可欠です。単なる特別感を生み出すだけでなく、顧客に「ここでしか得られない料理・体験」を提供することで、お客様の記憶に残ることができます。
例えば、本場イタリアの伝統を取り入れた創作料理は、その好例です。イタリアの地元で愛される食材やレシピを基にした料理を提供しつつ、家庭的な温かみを演出することで、高級感と親しみやすさを絶妙に融合させます。また、シェフが目の前で料理を仕上げるライブキッチンは、視覚的な楽しさを加えるだけでなく、顧客に料理のプロセスやこだわりを伝える絶好の機会となります。
②「誰に提供するのか」というターゲット設定
ターゲット設定では年齢や性別、職業といった基本的な属性に加えて、ライフスタイルや価値観まで踏み込んで考える必要があります。例えば「30代のOL」という漠然とした設定ではなく、「健康志向が強く、SNSでの発信も積極的な30代前半の女性会社員」というように、具体的なペルソナを描くことが重要です。
③「どんな場面で利用してもらうのか」という利用シーン
利用シーンについては、「ランチ」「ディナー」という大まかな区分だけでなく、「女子会」「記念日ディナー」「ビジネスランチ」など、より具体的な状況を想定します。例えば、記念日利用をメインターゲットとする場合、プライベート感のある空間作りや、特別感のある演出が必要になってきます。
これら3つの軸が明確に定まっていないと、店舗の方向性がぶれてしまい、結果として中途半端な店になってしまう可能性が高くなります。例えば、ターゲットを「20代〜40代の女性」と広く設定してしまうと、内装やメニュー構成に一貫性が出にくく、どの年代にも響かない店舗になりかねません。
コンセプト設計の具体的な手順
それではコンセプトは具体的にどのような手順で決めれば良いのでしょうか。
上述した「イタリアの下町にある家庭的なトラットリア」というコンセプトが出来上がる過程も例として挙げながら具体的な手順を解説いたします。
①ターゲット顧客を具体的に設定する
まずは、誰のためのお店なのかを明確にしましょう。
「20代後半〜30代前半の働く女性」「40代の夫婦と小学生の子ども2人」といった基本的な属性に加えて、以下のような具体的な特徴を描き出します。
- どんなライフスタイルを送っているか
- どんな価値観を持っているか
- どんな課題や悩みを抱えているか
- 飲食店に求めているものは何か
ペルソナを設定したら、さらに、「高級レストランではなく、気取らない雰囲気で本格的な料理を楽しみたい」や「家庭的な雰囲気で子供に優しいサービスがあると嬉しい」など、ペルソナの具体的な目的を設定することで、提供すべき価値が見えてきます。
②競合店との差別化要素を見出す
商圏内の競合店を徹底的にリサーチし、自店の独自性を明確にします。
- 同じターゲット層に向けた店舗はどんなサービスを提供しているか
- 競合店にない、自店ならではの強みは何か
- どんな点で差別化できるか
差別化のポイントは、料理の味や価格だけでなく、接客スタイルやインテリア、BGMなど、お客様がお店で体験する全体を通して考えることが重要です。イタリアの下町にタイムスリップしたような内装など、他店にはない雰囲気を演出したり、一人客や常連が入りやすい小さなカウンター席を設置したりと、競合の調査を行ったうえで差別化を図ることが大事です。
③提供するサービスのイメージを固める
ターゲット層が見えてきたら、次は提供する料理やサービスの具体的なイメージを固めていきます。
この際、以下の要素を検討します。
- 料理のジャンルと価格帯
- 提供方法(テーブルサービス/セルフサービスなど)
- 滞在時間
- 一人当たりの予算
例えば、働く女性を集客するなら、ランチタイムは短時間でも楽しめる 「ワンプレートランチ」 。ディナータイムは友人や家族とゆったり過ごせる「シェアできる前菜やコース料理」 など、ターゲットのライフスタイルに寄り添い、時間帯ごとに最適なサービスのイメージを固めます。
コンセプトに合ったサービスの基準を設定し、提供する体験全体を通じて一貫性を持たせ、「食事を楽しむ場」だけでなく、「人と人の絆が深まる空間」を提供することを目指すなど、従業員全員で共通の認識を持つようにしましょう。
コンセプトからの落とし込み
コンセプトが決まったら、「物件」「内装」「メニュー」「サービス」を決定します。
引き続き「イタリアの下町にある家庭的なトラットリア」をコンセプトとし、具体例を記載しているので、参考にしてください。
物件
ターゲットは地元のファミリー層や仕事帰りの会社員→住宅街やベッドタウンの駅近エリア。住民が日常使いできるエリアで、ランチやディナーのリピーターを獲得しやすい。落ち着いた雰囲気を作りやすく、地元の人々とのつながりが持てると強い。地元の人々が気軽に立ち寄れるが、観光地化しすぎていない場所が望ましい。人通りは一定数ありつつ、落ち着いた雰囲気を作りやすい物件が最適
会社員、一人客、同僚グループがターゲット→オフィス街の外れやビジネス街に近いエリア。ランチは手軽なメニューが求められ、ディナーは軽く飲める場所を意識。平日の安定した集客が見込めるが、週末の集客が難しいため、工夫が必要。オフィス街や繁華街の中心部は避ける理由として、 夜の集客が安定しない可能性があるほか、コンセプトにある「家庭的なトラットリア」が持つ温かみを打ち出しにくくなる。
内装
温かみのあるアースカラーを基調とし、アクセントとして赤や黄色などを取り入れて陽気なイタリアの雰囲気を表現。
アンティーク風の木製テーブルや椅子、床や一部の壁にイタリア風の装飾タイルを配置し、壁の一部にレンガや石造りのアクセントを取り入れる。
イタリアの風景画や、地元の市場の写真を飾り、テーブルには小さなキャンドルやオリーブの枝を配置し、家庭的な温もりを演出。
メニュー
イタリアの家庭料理」を軸に、地元の旬の食材を取り入れた構成。
イタリア各地方の家庭料理(例:リグーリア風ミネストローネ、ナポリ風ラザニア)や、イタリア各地の手頃なワイン(赤・白・スパークリング)、自家製リモンチェッロ。
ファミリー層が通いやすい手頃な価格設定にする。ランチはコスパ重視、ディナーは少し贅沢な内容。
サービス
親しみやすさと家庭的な温かさを感じさせる接客を重視。
料理の説明やおすすめを紹介するなど、笑顔で迎えるフレンドリーな接客を徹底。子ども連れのお客様には、子ども用メニューやミニプレゼントを用意。/
季節ごとに「〇〇フェア」を開催し、特別メニューを提供する。
メニュー開発の流れ
メニュー開発は、その店の魅力を最大限に引き出す重要なプロセスです。
メニューは単なる食事の提供方法にとどまらず、店のブランドイメージを反映させる大きな役割を担います。
この段落では、メニュー開発の流れ、開発のポイント、そして注意点について詳しく解説します。
Step1.メニュー全体の枠組みを決める
メニュー開発の第一歩は、メニュー全体の骨組みを作ることです。
上述した「イタリアの下町にある家庭的なトラットリア」がコンセプトなら、前菜、パスタ、メイン、デザート、ドリンクといった構成が考えられます。その上で、それぞれのカテゴリーにどれくらいの品数を用意するのかを検討し、ランチとディナーで提供する内容の違いも検討します。また、店の強みとなる看板メニューの方向性も明確にし、ターゲットにとって魅力的な看板料理が何かを考えます。さらに、厨房のキャパシティや提供オペレーションを考慮し、仕込みの負担や提供スピードに無理がないかを確認することも重要です。この段階でメニューの大枠を固めることで、次のアイデア出しや試作がスムーズに進み、店舗のコンセプトと一貫性のあるメニュー開発が可能になります。
Step2.アイデア出し・コンセプトとの照合
調査結果を元に、アイデアを出し合います。
この段階では、どのような料理を提供するのか、どのような味のバリエーションを持たせるのかを考えます。この時に忘れてはいけないのは、お店のコンセプトに合ったメニュー構成を考えることです。
Step3.試作・試食会
実際に料理を作り、試食会を行います。
スタッフやお客様に試食してもらい、フィードバックを集めます。いただいたフィードバックを元に、味や見た目、食材の調整が必要かどうかを見極めましょう。この過程を繰り返し、完成度を高めていきます。
Step4.原価計算・価格設定

メニューを決定した後は、原価計算が必要です。
材料費、人件費、調理の手間などを考慮して、適正な価格を設定します。また、利益率や競合店との価格差を比較し、店の収益に繋がる価格設定を行います。
Step5.メニュー表作り
メニュー表の見た目も非常に重要です。
レイアウトやデザインは、お客様の視線を引きつけ、料理を魅力的に見せる効果があります。写真を使うか、シンプルなテキストで説明するかなど、お店のコンセプトに合わせて決めます。また、アレルギーや特定の食事制限に配慮した表示も重要です。
Step6.導入とフィードバック収集
新メニューを導入した後は、スタッフやお客様からフィードバックを集め、必要に応じて改良します。メニューは一度作ったら終わりではなく、常に改善の余地があるため、定期的に見直しましょう。
メニュー開発のポイント
1.バランスの取れたメニュー構成にする
メニューは前菜からデザートまで、バランスよく組み立てることが重要です。また、食材の組み合わせや調理方法にも工夫を凝らし、同じ食材を使った複数の料理を提供することで、調理の無駄を省き、効率的な仕入れを実現できます。
2.シーズンやトレンドを取り入れる
季節ごとの旬の食材や流行を取り入れることで、メニューに季節感と新鮮味を与えます。特に飲食業界では、流行やトレンドに敏感であることが重要です。例えば、ヘルシー志向やエコ・サステナビリティ、ヴィーガンを意識したメニューは、現代の消費者の関心を引きやすくなります。
3.見た目を工夫する
料理は味だけでなく、見た目も大切です。視覚的に魅力的な料理は、SNSでシェアされやすく、お店の宣伝にも繋がります。プレートのデザインや盛り付けに気を使うことは、料理の品質を高める一つのポイントです。
4.実現可能なメニューを作る
どんなに魅力的なアイデアがあっても、実際に調理・提供できるかが最も重要です。厨房の設備やスタッフのスキルを考慮し、現実的に実行可能なメニューを作ることが大切です。
メニュー開発の注意点
1.メニューを多くしすぎない
メニューに載せる品数が多すぎると、お客様が選びにくくなるだけでなく、食材の無駄が発生する可能性もあります。
2.ブランディングの一貫性を維持する
お店のコンセプトやブランドに合ったメニューを作成することが大切です。メニューに一貫性を持たせましょう。
3.アレルギーや食事制限へ配慮する
近年、アレルギーや食事制限をお持ちのお客様が増えています。メニューにその旨を明記し、対応可能な料理を提供することが求められます。
4.過度にコスト管理しない
メニュー開発においてコストは重要な要素ですが、過度にコストを削減しすぎると、料理の質が低下してしまうことがあるので注意が必要です。
失敗しない店舗コンセプトの決め方 まとめ
成功する飲食店のコンセプト作りには、「誰に」「何を」「どのように」提供するのかを具体的に定義することが不可欠です。
また、それを実現するための細部まで一貫性を持って設計することが重要です。
コンセプトは開業後も定期的に見直し、市場の変化や顧客ニーズの変化に応じて柔軟に進化させていくことが、長期的な成功につながります。
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