食材の価格高騰が収まる気配を見せません。
食用油も例外ではなく、ウクライナ情勢の影響などにより今後も高値が継続すると見込まれています。
幅広い業態で使われる食用油ですが、特に揚げ物メニューが多い飲食店にとっては、頭を抱える問題ではないでしょうか。
そこで今回は、油を長持ちさせるコツや、お役立ち機器などを紹介。コスト削減のためにご参考にしていただければ幸いです。
油の劣化原因
油が劣化する大きな要因は「酸化」。
空気、水分、光、高温、金属などと接触する事で促進されます。酸化が進むと、不快な臭いがしたり、色が濃くなったり、粘度が上がったり、細かい泡が出たりなどといった変化が起きるのはご存じの通り。
使い続ければ、料理の色合いや風味が悪くなるばかりか、毒性を持つので、お客様が胸やけを起こしたり、気分が悪くなったりといったこともありえます。お店の信用を失うばかりか、クレームにも繋がりかねません。
油を長持ちさせる方法
上記で挙げた要因を考えれば当然のことと思えますが、油の酸化を完全に防ぐ方法はありません。
しかし、長持ちさせる方法はいくつかあります。
ご存じの方も多いかとは思いますが、何か新しい物を導入することなく、日々の業務の中で出来る方法を紹介します。
・揚げカスをマメに取る
揚げカスを放置すると、より脂が酸化しやすくなります。冷めないうちに、浮いている揚げカスや底に沈殿している揚げカスをすくい取りましょう。
・油を継ぎ足す
油量を一定に保てば、揚がりの状態を均一にすることが出来るだけでなく、油の酸化を抑えるためにも有効です。
・高温にしすぎない
油の酸化速度は、温度が高いほど早くなると言われています。必要以上に高い温度設定になっていないか注意しましょう。もし、鍋などで揚げ調理をしている場合は、上記に挙げた以外にも、揚げた後の油をオイルポットなど保存容器に移し、冷めたところでフタをして、コンロから離れた場所に置いておくなども有効です。
油を長持ちさせる機器
ここまででお伝えしたのは基本の手段。
近年では、油を長持ちさせ、使用量削減に役立つ機器も登場していますので、是非ご参考にしてください。
小型フライ調理器具(電波発信方式)
例えば、フライヤーに電波を発信するパネルを入れて使用する調理器具。
電波によって食材の水分子が振動するため、火が通りやすくなるというもので、調理時間を短縮したり、低い温度の油で揚げることが出来るようになるという特徴があり、油の使用量削減の効果が見込めます。
電波発信方式のフライ調理器具の1つ『オイルレスフライ』は、油の使用量を30%削減したという実例もあるようです。
油ろ過機
ろ過フィルターに、使用した油を通すことで不純物を除去し、油を長持ちさせるというもの。
手作業では重労働になるろ過作業が簡単に行える上に、フライヤーの清掃も簡単になります。
ろ過機も数種出ていますが、そのうちの1つ『エコサス』によると「油の仕入れ費用を30%削減」「フライヤーの清掃時間を30分から5分に短縮」という実績が謳われています。
とはいえ、気になるのは導入コスト。電波発信方式の小型フライ調理器具は40~50万円、油ろ過機は20万円前後と決して安くはありません。
ただ、レンタルサービスもあります。使用量が多いお店なら削減効果も大きいので、一考の価値は十分にあるのではないでしょうか。
油は飲食店の必需品。油代の削減は、食材のコスト低減に直結します。
もし、何も対策されていないようでしたら、まずは手軽に実践できる方法から試してみてはいかがでしょうか。