前回の記事では、2023年10月から始まるインボイス制度について知っておくべきポイントをお伝えしました。
しかし、対応すべきか迷っている方は、まだたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の続編では、迷われている方の判断材料となるよう、インボイス制度対応の領収書やレシート、新たにレジを導入する場合のポイントに加え、使える補助金をご紹介します。
レシートは簡易インボイスとして使える
前回解説した通り、インボイスは「適格請求書」のこと。
“請求書”というと構えてしまうかもしれませんが、不特定多数をお客様とする飲食店においては、領収書やレシートが「簡易インボイス」として認められるので、業務が抜本的に変わるわけではありません。
国税庁が公表している資料によると、適格請求書は、
- 適格請求書発行事業者の氏名 又は名称 及び登録番号
- 取引年月日
- 取引内容
- 税率ごとに区分した合計額 及び適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
- 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
（出典：国税庁「適格請求書等保存方式の概要」）
の6点の記載が必要ですが、簡易インボイスでは、記載事項を簡略化することができます。
具体的には下記の2点（※下図にイメージあり）
A「6.書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」の記載が不要であること。つまり、宛名を書く必要はありません。
B「5.税率ごとに区分した消費税額等」と「4（のうちの）適用税率」のどちらかを記載すれば良いということ。
が省略できる点になります。
使っているレジがインボイスに対応していない場合は？
レシートが簡易インボイスとして認められるとは言え、現在ご使用のレジ自体が上記必須事項を記載出来ないのであれば、買い替えの検討も必要です。
もちろん、コストはかかります…
が、インボイス制度に対応する補助金があるので、全額を負担しないで済むかもしれません。（※詳細は後述）
補助金で予算に余裕が出れば、選択肢の幅も広がります。昨今では、単なるレジ機能にとどまらない多彩な機能を搭載したタブレット型POSレジも人気を集めています。
タブレット型POSレジは、種類によって搭載している機能が様々。会計処理や売上管理/分析といった基本的な機能はほとんどの種類に搭載されていますが、中には、顧客管理や在庫管理、人件費管理などのお役立ち機能を多数備えているものもリリースされています。
業務の流れを変えたくなければ、インボイス対応のレジスターが良いでしょうが、人手不足などで業務の効率化を必要としているなら、タブレット型POSレジも選択肢の一つとして検討すべきでしょう。
インボイス制度に対応する補助金
さて、肝心の補助金。
中小企業や小規模事業者を対象とした、インボイス制度対応の補助金は2つ。『IT導入補助金』と『小規模事業者持続化補助金』があります。
IT導入補助金
中小企業や小規模事業者がITツール導入に活用できる補助金です。
インボイス対応に伴う、会計ソフト等のITツール（ソフトウェア）、パソコン・タブレット端末・レジ・券売機等のハードウェア導入に対して、5万円〜350万円の支給を受けられます。ち
なみに、前述したPOSレジは、ほとんどの種類が対象となっています。
申請の締切は、第18次が2023年1月19日、最終締切の第19次が2023年2月16日。
時間に余裕があるわけではないので、早期のご検討をオススメします。
申込み方法など詳細は『IT導入補助金2022』のHPをご覧ください。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者に対して最大100万円（補助率2/3）が支給される制度で、インボイス枠が設けられています。
補助金の対象者は、免税事業者で新たにインボイス発行事業者として登録し、販路開拓に取り組む小規模事業者とされています。補助の対象となる経費としては、新サービスを紹介するチラシ作成・配布、WEBサイト関連などの販促費や新商品の開発費、店舗改装などの外注費など幅広く含まれるので、対象となる方は一度是非ご確認を。
申請締切は2023年2月20日。全国商工会連合会が交付しているガイドブックによると、これが最終受付回とされているので、こちらも早期の検討が必要でしょう。
詳細は小規模事業者持続化補助金のHPをご覧ください。
インボイス対応するなら補助金を活用しよう
そもそも補助金は、生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者を支援し、将来の成長を下支えするために設けられているもの。
インボイス制度に対応するのであれば、補助金を積極的に活用し、この機会に業務の効率化や新しい販路の開拓を推し進めていきましょう。