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コスト・手間削減

一流料理人に聞く、コース料理の「考え方」と「原価調整」

流行の発信地として知られる港区・青山。
大通り・青山通りを曲がり、細い路地を行くとレトロな空気感を纏う一軒家があります。
テレビなど様々なメディアに出演している、山田英明氏が料理長を務める『青山はしづめ』です。

『青山はしづめ』は、和だしを使った懐石風中華料理のコース専門店。提供するコースは、老舗製麺会社がこだわり抜いた小麦粉を丁寧な製法で作り上げた麺をメインに、見た目華やかな前菜をはじめとする滋味深い中華料理で構成されています。

今回、外食業界の中でも名のある料理人・山田料理長に、コース料理の考え方や食材原価の調整について伺いました。

 

【取材協力】『青山はしづめ』
世界的に有名なグルメガイド誌にて一つ星を獲得した経歴もある中華レストランの二店目として2015年にオープン。提供するのは、月替わりのコースと料理長のスペシャルコースの2種。大正時代にタイムスリップしたような内装の中で堪能する、数々の新しい美味しさに高い評価が集まる。

一流料理人が考える「コース料理とは」

取材日にご用意いただいた『料理長のスペシャルコース マダムが選んだ和食器で』。 上段左から『特製前菜九種盛』『海老とタロ芋の揚げワンタン 新玉ねぎ柑橘おろしソース』『フカヒレステーキ&煮込み 二種盛 かにみそソース 赤酢かけ』。 中段左から『ホッキ貝とスミイカのねぎショウガ和え』『富士山サーモンのふき味噌糯米蒸し』『季節野菜(水蓮菜)の炒め物』。 下段左から『一ノ麺 ジャージャー麺(平麺)』『二ノ麺  春たけのこの温麺(モロヘイヤ麺)』『季節のソルベ』。

 

『青山はしづめ』は、毎月コースの内容が変わります。これは、山田様がお客様に「毎月来て欲しい」という想いから、自分に課したルールだと言います。
では、コースメニューを考案する時に山田様が大切にしている事とは。伺いました。

「まず、アラカルトを集めて作ったコースとは違う、ということ。1品目から最後まで全部食べ終わって「美味しかったな」と思っていただきたいですね。1品だけ美味しかったとしても「最後もたれたな」とか「後半苦しかったな」って感じてしまったら、コースとして成立していないかな、と。コースは9品ありますが、1皿の料理のようなイメージで作っています。
一番大事なのは、自分が食べに行く感覚だと思っています。『青山はしづめ』では、前菜の次は揚げ物、その次はフカヒレを提供していますが、こうしたしっかりしたメニューを前半に出すのは早いと思いますし、中華の基本的な構成からは外れていると思うんです。けどやっぱり、自分が食べたい時、お腹が空いている時に食べ応えのあるものを食べたいじゃないですか(笑)。その後は少量でインパクトが強いものとか、「美味しかったな」って思ったタイミングで落ち着いたものとか。お客様は話をしながら食事するので、意識していないかもしれませんが、「これこれ」って思えるものをお店側が出すことがすごく大事だと思っています」

1品目の特製前菜九種盛。「第一印象を大事にしていて。特に初めて来るお客様は、前菜が豪華に9品出てきた時に強い印象が残る、そういうイメージで作っています」

 

3品目に出てくる『フカヒレステーキ&煮込みの二種盛 かにみそソース 赤酢かけ』。フカヒレの下には、牛リブロースが隠れる贅沢な逸品。

 

老舗製麺会社が経営する『青山はしづめ』のコースのメインは2種の麺料理。料理の提供の前に、使用する2種の麺を紹介する。

 

一ノ麺。平麺を使用した『ジャージャー麺』。

 

二ノ麺は、モロヘイヤ麺を使用した『春たけのこの温麺』。鶏のスープは全く使わず、鰹と昆布の和だしにねぎ油、中華麺を入れたサラッと流しこめる逸品。和食店の椀物の後口に影響を受けているという。

 

原価調整の工夫

コースは全部で9品。うち前菜が9種なので、計17種あるということになります。メニュー考案に苦心しているのは、想像に難しくありませんが、もう1つ気になるのが原価の調整です。
『青山はしづめ』のコースは、水産品や野菜をふんだんに使っています。値段の変化が頻繁に起きる商品が多いだけに、月ごとにコースを決めると、原価を安定させるのが難しいのではないでしょうか。

「海産物でも、なるべく値段が安定するものを選んでいます。今月のメニューで言うと、富士山サーモンがそうですね。養殖ですし、量も安定的に取れるから値段はそんな変わらないんじゃないか、と想像して選びます。その後、数日値段を見て判断していますね。

『富士山サーモンのふき味噌糯米蒸し』。柔らかなサーモンと糯米の食感、ふき味噌の特徴的な味わいが一体となる。

 

他には、早めに仕入れられるものは仕入れて保存をきかせるとか。例えば、ハマグリはひな祭りの時に値上りしますよね。その前に多めに買って、酒蒸しにしておいて高い時期を乗り切ります」

仕入れの際に細かな心掛けをしているとはいえ、やはり「原価の調整は必要になる時がある」と、山田様は付け加えます。その時の工夫を教えていただきました。

「原価を調整する時でも、お客様が損をしないようにしています。
例えば、大きい牡蠣をつけていたのを、サイズを落として副材料をつけて団子にしたり、ワンタンの中に詰めたりなど、手間をかけて原価を下げた分の価値を補います。
加えて、手に入りづらい珍しい材料を使うようにしていますね。一般の人が手に入らないもの、口に出来ないものを出すこと自体が価値だと考えているので。
今回お出しした、エビとタロイモの揚げ物は、以前は有頭エビを使ったメニューでしたが、原価を下げるためにカットしたエビを使って作ったメニューです。副材料にタロイモを選んだのは、手に入りづらいという理由から。芋としては高価ですが、それでも高級というほどではありません。原価の低いエビをつぶして希少なタロイモと混ぜ合わせ、焼売の皮で包むという手間をかけることで、原価を下げながらもお客様に価値を感じていただけるよう工夫しています。
こうして1つ1つのメニューの原価を調整しながら、コース全体で設定した原価に合うようにしていますね」

『海老とタロ芋の揚げワンタン 新玉ねぎ柑橘おろしソース』。価値を高めるための工夫が詰まった一品。

 

メニュー考案に役立てている『PRECoCo』

山田様は仕入れにプレコの発注システムPRECoCoを使用、原価の調整に大いに役立てていただいているそうです。「海産物はその日にならないと値段が分からないものがたくさんありますが、PRECoCoは前日にほとんどの商品の値段が分かるし、写真も付いているので便利ですね」と、評価の言葉をいただきました。

また、PRECoCoの価格表示と商品写真は、メニュー考案に行き詰った時も役立っているそうです。

「メニュー作りのために、自分でも他のお店に食べに行っていますが、思いつかない時は、中華街行って鎌倉行って名古屋行って……、それでも思いつかない時は京都・大阪に泊りで行ってとか、だんだん遠くなっているんですけど(笑)。
その間にPRECoCo見て。やっぱり写真が見られるし、旬の商品もある、参考になりますね。景色見ながら、料理食べながら、ゆっくりじっくり最低半月はかけてメニューを決めています」

自身のメニュー作りの苦労をにこやかに語ってくださった。

 

加えて、山田様は以下のようにも評価していただいています。

「正直、商品の品質が良いのは、当たり前の時代だと思っているので、それは前提として仕入れています。料理も同じで、美味しくて当たり前。いかにプラスアルファできるか、だと考えています。
PRECoCoは、いつでも見られる、いつでも注文できる。しかも、肉・魚・野菜を全部一カ所で見られます。今の言い方だと、タイムパフォーマンスが良いですよね。
やっぱり時間はお金だと思うんです。青山はしづめの厨房は、自分1人でやっているので、手がかけられる時間が長くなる分、料理が美味しくなってお客様が得するということになります。
そういうプラスアルファの価値があるなって思うんですよね」

山田様のお言葉にあるように、現在は飲食店もタイムパフォーマンスが求められる時代。PRECoCoがお役に立っていることを光栄に思うと同時に、飲食店のビジネスパートナーとして、今後もお役に立てる商品・サービスを提供していかなければと、改めて気を引き締める機会となりました。

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