社会問題の1つと言われている日本人の「働きすぎ」。
人手不足が叫ばれる飲食業界にとっては、まさに身近な課題。悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
解決しようと考えれば考えるほど、根深いリスクを含んでいる問題です。
ここでは、「働きすぎ」によって起こりうるリスクを改めて確認するとともに、解決するための工夫をご紹介します。
「働きすぎ」で起こりうる最悪のリスク
よく言われていることですが、働きすぎると身体や精神に影響が出ることがあります。
仕事時間が増加すると、最悪の場合、業務における過重な負荷によって生じる脳・心臓疾患を原因とする死亡や、業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺を引き起こす恐れもあります。これらを、併せて過労死と言います。
『過労死ライン』はあくまで目安
では、この最悪のケースが起きる前に、気づくことは出来ないのでしょうか。
『過労死ライン』という健康障害が生じる恐れのある時間外労働時間を表した言葉があります。一般的には「発症日又は死亡日の直近1か月で、残業時間が月100時間を超えていること」など、いくつかの基準が挙げられていますが、近年では、過労死ライン以下の労働時間でも「ハラスメントなど労働時間以外の負荷要因等を総合的に勘案して労災と認定された」といった報道も目にします。つまり『過労死ライン』は、あくまで目安でしかありません。
厚生労働省の「5分でできる職場のストレスセルフチェック(※2)」の項目には、「めまいがするか」「胃腸の調子が悪い」「常にだるく感じる」などの質問があります。従業員がこうした症状を訴えていたら、危険信号と捉えるべきです。
それ以前に、ストレスがたまると、普段であればしないミスをしたり、いつもの作業に時間がかかってしまったりなど、業務上に支障がでる可能性が高まります。「従業員の様子がいつもと違う」と感じたら、それが兆候かもしれないので、最大限ケアを心掛けましょう。
働かせすぎないためにできること
もちろん、そんな兆候は見えないに越したことはありません。「ウチは大丈夫」と思われる方も多いでしょう。しかし、万が一のためにも業務の効率化を行うことはとても重要です。以下、一例ですがご紹介します。
業務を割り振れるように人材育成
一人のスタッフに仕事が集中している場合は、分担できるように業務を細分化し他の従業員を育成するのも一手。マニュアルを作るなどの方法で、ノウハウを共有しましょう。
時短食材を使用
一からすべて作るのではなく、加工済の食材を使用する方法もあります。
仕込みが軽くなるようにカット済の食材や無洗米などに切り替えることも工夫の一つです。
外注業者に発注
店内の清掃など、外部に委託できる業務もあるかもしれません。
その方が結局人件費よりもコストが下がる場合もあります。日常業務の負担を減らせるものは、是非検討してみてください。
DX化
デジタル化による業務負担減は王道。
レジや入店待ちなど、ツールで管理できるものを移行させることで、業務効率向上が期待できます。
労災につながる従業員の健康被害は、本人だけではなく会社にも大きな損失を生じさせます。その反面、働く環境を整えれば、従業員が定着しやすくなり、経営にも良い影響が出てくるはずです。
従業員とお店を守れるように、業務負担改善に取り組んでいきましょう。
(※1)引用:労働時間・休日 |厚生労働省
参考文献: