鶏肉の柔らかで程よい弾力、ジューシーで口いっぱいに広がる旨味……。
そんな料理を提供するためには、鶏肉の鮮度にこだわることが重要です。
では、鮮度の良い鶏肉をどのように仕入れるか……?
今回はそんなお話です。
こだわる飲食店の中には店内で鶏を捌く店もある
鶏肉は、そもそも牛・豚に比べて鮮度が落ちるのが早い食肉ですが、部位ごとに切り分けた後、鮮度劣化のスピードはさらに上がります。
部位ごとに切り分けられた鶏肉は、空気に触れる表面積がより広くなり、空気中の雑菌が付着する表面積もまた広くなるためです。
この鮮度劣化を最小限に留めるために、鶏料理専門店の中でも名高い店舗では、鶏肉を部位ではなく、「丸鶏」で仕入れて店内で捌き、部位ごとに切り分けています。そうしたお店は、提供する鶏料理や焼鳥の美味しさが決め手となり、口コミサイトでも高い評価を得ています。
ト体と中抜き
さて「丸鶏」とは、部位ごとに切り分ける前の一羽丸ごとの状態を示す呼称ですが、丸鶏には、さらに「ト体」と「中抜き」の2種類があります。
「ト体」とは、血を抜き羽をむしっただけで、内臓などは体内に入っている丸鶏。「中抜き」とは、ト体から内臓を取り出した丸鶏のことを言います。つまり、「ト体」と「中抜き」は、内臓を取り出しているかどうかの違いになります。
使いやすさから言えば、当然中抜きとなりますが、鶏の身体の内側、内臓があった部分が空気に触れるので、ト体よりは鮮度は劣ります。
つまり、鮮度の高い順に並べると、ト体>中抜き>部位ごと、となります。
……であれば、ト体で仕入れたくなるところですが、注意しなければならないのは、ト体を仕入れて捌くためには「食鳥処理業」の許可が必要だという点。取得する条件には、既定の衛生基準をクリアしていることや「食鳥処理衛生管理者」の資格を持つスタッフが在籍していることなどが挙げられます。そのハードルは極めて高く、現実的にはなかなか許可を得るのが難しいと言えるでしょう。
一方、中抜きを仕入れて部位ごとに切り分けるには「食鳥処理業」の許可は不要なので、捌く技術さえあれば、部位ごとに仕入れるより鮮度の高い鶏肉を料理に使うことが可能です。
中抜きの捌き方
一般的に丸鶏を手作業で捌く時は、ト体でも中抜きでも「外剥ぎ方式」と呼ばれる手法で捌かれます。
「外剥ぎ方式」は、もも肉やむね肉、手羽など、身体の外側に付いている部位から順番に外していく手法。丸鶏の仕入れをご検討される際は、下記で中抜きを捌く映像を紹介しますので、ご参照ください。
高い技術が必要な時は外注も要検討
中抜きで仕入れたとしても、店内で手作業で捌かなければなりません。そのためには映像でご覧いただいたような熟練の技術が必要になり、習得しようとすれば、相応の時間がかかります。
「……鮮度の高い鶏肉を提供したいけど、取得する時間もなければ、仕込みの時間もない」と考えられる方も多いのではないでしょうか。
そんな時は、鶏肉の仕入れ先を見直すことがベターな方法と言えるでしょう。
鮮度が保たれた状態で、鶏肉の部位を届けてくれる仕入れ先を選ぶという選択です。
では、どういう基準で仕入れ先の鶏肉の鮮度を見極めるのか。そのためには、仕入れ先の作業環境と流通の工程を知ることが重要になります。
仕入れ先が鶏肉をどこから仕入れ、どのような環境で解体・加工し、注文からどれくらいの時間で配送しているか。貴店に納品されるまで、鮮度を保持するために最大限の配慮を行っているか。仕入れ先に問合せ、確認することが肝心です。
今の仕入れ先の作業環境や流通工程を改めて確認し、場合によっては望まれる鮮度の鶏肉を届けてくれる仕入れ先を選び直すこと。それが、お客様満足度を向上させる料理を提供する近道かもしれません。
1日約2,600羽 11℃低温クリーンルームで丸鶏を解体するプレコフーズ プレコフーズのオリジナルブランド鶏は、産地から毎日ト体で入荷。1日に約2,600羽(2024年1月実績)ものト体を、自社センター内で熟練の職人たちが手作業で捌いています。作業室は、HACCP対応のソックチリングシステムを備えた、年間を通じて常に11℃に保つクリーンルームで行い、自社冷蔵車で配送。抜群の鮮度で厨房までお届けします。 |