健康志向の高まりと共に、無添加食品へのニーズが高まっている昨今。飲食店でメニューを選ぶ時に、添加物を気にされる方も見かけるようにもなりました。
しかし、添加物を使っていない、という意味は分かるものの「無添加」という言葉を使うことが意外と難しいのはご存じでしょうか。
この記事では、無添加について分かりやすく解説します。無添加にこだわるお客様と接する時、間違った説明をしないためにも是非ご参考にしてください。
そもそも食品添加物とは
食品添加物とは、保存料・甘味料・着色料・香料など、食品の製造過程で加工・保存を目的として使用されるもの。日本では、使用できる食品添加物は以下の4つに分類されています(※1)。
- 指定添加物:食品衛生法第12条に基づき、厚生労働大臣が使用してよいと定めたもの。
- 既存添加物:長期間にわたり幅広く使用されているもので、既存添加物名簿に収載されているもの。
- 天然香料:動植物から得られる物又はその混合物で、食品の着香の目的で使用されるもの。
- 一般飲食物添加物:イチゴジュースや寒天など、一般に飲食に供されるもの。
ちなみに、無添加食品は身体に良いというイメージがありますが、添加物が入っているものが必ずしも健康に悪いということはありません。食品安全委員会が科学データに基づき、一生毎日摂取しても健康に悪影響がないと推定される摂取許容量を算出。これを受けて厚生労働省が使用量や使用の基準などを設定しています(※2)。
(※1、※2)厚生労働省HP「食品添加物」
「無添加」食品の見分け方
「無添加」とは、原材料の産地から最終加工食品完成までの全工程において、上述した食品添加物を一切使用していないことを言います。どれか1つでも入っていれば、それは「無添加」とは言えません。
消費者庁が2022年3月に策定した「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」では、単なる「無添加」という表示を禁止しています。これは消費者の誤解を生む恐れがあるという理由によるもの。無添加と表示する場合は、具体的に何が無添加であるかを明記する必要があります。例えば、保存料を使用していない場合には「保存料無添加」と表示しなければなりません。購入する側は、何の添加物を使っていないのかが、分かりやすくなったと言えます。
含まれている添加物を確認するためには、食品表示を見ると良いでしょう。原則として、食品に使用した添加物はすべて表示しなければなりません(食品表示法)。基本的には、生鮮食品なら容器や包装に、加工食品なら食品表示の「原材料名」の欄、もしくは「添加物」の欄に書かれているので、添加物が使われているかどうかはすぐに確認できます。
食品表示に書かれない添加物もある
ただし、添加物の中には表示しなくてもよいものがあります。加工助剤(※1)やキャリーオーバー(※2)などです。これらは、食品に影響を及ぼさないものとされていますが、使用されていれば「無添加」と表示することは出来ません。
もし、加工助剤やキャリーオーバーなども含まれていない「完全無添加」の食材を求めるなら、食品表示で見分けるのは困難です。信頼できる産地やメーカーなどから仕入れることも検討する必要があります。
(※1)食品の加工の際に使用されるが、(1)完成前に除去されるもの、(2)その食品に通常含まれる成分に変えられ、その量を明らかに増加されるものではないもの、(3)食品に含まれる量が少なく、その成分による影響を食品に及ぼさないもの。
(※2)原材料の加工の際に使用されるが、次にその原材料を用いて製造される食品には使用されず、その食品中には原材料から持ち越された添加物が効果を発揮することができる量より少ない量しか含まれていないもの。
無添加食品を提供することは、健康志向のお客様にとって大きな魅力となります。しかし、そのために仕入れを変えるのは現実的ではありません。
むしろ、添加物を気にされるお客様と接する時は、提供メニューについて正確な情報をお伝えすることが真摯な対応と言えるでしょう。そのためにも、使用する食材がどのように作られているのかを把握しておくことが重要です。