飲食店経営に関するお役立ち情報を配信中!

食品の安全・品質

リスクを避けつつ美味しく仕上げる 正しい低温調理の方法

ローストビーフ、ローストポーク、鶏ハム、レアチャーシュー、蒸し鶏、各種ホルモン刺……。
近年、日本でも人気の低温調理。
ゆっくり低温で加熱することで食材がしっとりと柔らかく仕上がる他、専用の調理器具があれば仕込みの負担が小さいのも、飲食店にとってはメリットと言えるでしょう。
しかし、誤った調理をした場合、加熱不足などが原因で食中毒を引き起こすリスクもあります。
本記事では、低温調理のリスクや正しい調理法について紹介します。

新人教育に!気軽に学べる食品安全クイズ

そもそも低温調理とは

肉に含まれるタンパク質は、熱を加えると50℃辺りから変化し、70℃を超えると肉質が硬くなり水分が出てしまいます。
低温でじっくり火を入れることで、たんぱく質の変化を抑え、柔らかでジューシーに仕上げるのが低温調理です。
調理法は、スチームコンベクションやオーブンの使用など様々ですが、真空パックして一定温度に保ったお湯で湯煎するのがよく知られている方法ではないでしょうか。
湯煎の場合は、お湯の温度を一定に保つのが手間ですが、近年ではお湯の温度を一定に保つ専用の調理器具も比較的安価で販売されているので導入している店舗も多いようです。

食中毒のリスクを避け美味しく仕上げる加熱

低温調理の最も大きなリスクは、加熱不足によって発生する食中毒です。
主な原因菌・ウイルスは、鶏肉だとカンピロバクター、牛肉だと腸管出血性大腸菌(O157など)、豚肉だとE型肝炎ウイルスなどが挙げられます。
これらの原因菌・ウイルスは熱に弱く、75℃で1分以上加熱すると死滅します。ですので、肉を加熱する際は、中⼼部を75℃で1分以上加熱、もしくは、厚生労働省が同等の加熱条件として挙げる70℃で3分以上、69℃で4分、68℃で5分、67℃で8分、66℃で11分、65℃で15分など(※1)の加熱が必要です。
前述の通り、70℃付近でたんぱく質が変化するので、柔らかくしっとりとした仕上がりにするならば、このうち「65℃で15分以上」で加熱するのが適していると言えるでしょう。
ここで注意したいのは、【中心部を】65℃で15分加熱するということ。肉の中心部が65℃になるまでに60分かかると仮定すると、計75分加熱しなければ、食中毒のリスクは残ってしまいます(※2)。
(※1)※厚生労働省「食肉の加熱条件に関するQ&A」https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000365043.pdf
(※2)肉の種類や厚さによって加熱温度や時間は異なるので、中心温度計を活用するなどをオススメします。

その他の安全に調理するポイント

上述した加熱温度・時間を守っても、食中毒のリスクを完全に排除できるわけではありません。ここでは、安全に低温調理を行うポイントを3つ紹介します。

衛生管理

これは、低温調理に限った話ではなく基本になりますが、清潔な手で清潔な調理器具を使い調理しましょう。食中毒の原因物質は、生肉の汁(ドリップ)にも含まれるので、手やまな板、包丁などの調理器具を介して広がります。他の食材を触ったり、切ったりしたら、必ず洗浄してから調理することが大切です。

新鮮な食材の使用

これも基本ではありますが、低温調理に使う食材は、可能な限り新鮮な状態のものを使いましょう。また、衛生的な環境で販売されているかも重要です。

すぐに使わない場合は急速冷凍

調理後、すぐ提供しない場合は氷水などで急冷し、冷えたら冷蔵庫で保存しましょう。常温で放置しておくと食中毒の原因菌・ウイルスが繁殖しかねません。

新人教育に!気軽に学べる食品安全クイズ

 

低温調理は、適切な加熱温度・時間で美味しく仕上げるためには予想以上に時間がかかるかもしれません。しかし、一定の温度を保つことができれば放っておくことが出来るので、その間に他の作業をするなども可能です。
人気が高い低温調理メニュー。適切な加熱温度・時間で調理し、美味しく、かつ安全なお料理を提供しましょう。

新人教育に!気軽に学べる食品安全クイズ

RANKING

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5

CONTENT

無料ダウンロード資料

関連記事

PAGE TOP