「身体に良い」「環境に良い」というイメージのオーガニック。でも、本当の意味を聞かれたら……、意外と答えにくい質問です。
健康志向やSDGsへの関心が高まっている現在、メニューに取り入れようかと考えている方も多いのではないでしょうか。
確かに、「オーガニック野菜使用」は新規のお客様に響くメニューの1つと思われます。
ただ、メニューに使うのであれば、冒頭の質問にも迷わず答えたいところ。
今回は、身近な疑問を解き明かしながら、オーガニックについて解説していきます。
疑問①オーガニック=無農薬?
日本では『有機JAS認証』を取得し、規格に適合する生産方法で栽培、有機JASマークが付されている場合のみ、商品名に「オーガニック」と表示することができます。
農林水産省が公表している資料(※1)によると、オーガニックとは「農業の自然循環機能の維持増進を図るため、化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負担をできる限り低減した栽培管理方法を採用したほ場において生産すること」とあります。
ただ、農薬について詳しく見てみると例外があり、使用可能な農薬がリストアップされています。これらは、自然由来の物質や、外部からの汚染や病気への対策として使える農薬だそう。すべての農薬がNGというワケではありません。
つまり、「オーガニック=無農薬」という疑問に対する答えはNOということになります。
疑問②オーガニックと無添加って違うの?
「オーガニック」と間違えやすい言葉に「無添加」というものがあります。
2つは似ているようで全く違うもの。疑問に対する答えはYES になります。
まず「オーガニック」が農産物や加工品などを対象に幅広く使われる言葉であるのに対して、「無添加」は主に加工品に使われる言葉。製造過程において、保存料や甘味料、着色料、香料などの食品添加物を使用していない商品などに使われます。
また、「〇〇無添加」には認証制度がありません。この点においても、厳しい審査を経て認証を受けなければ表記できない「オーガニック」と異なります。
「ちなみに…」な話
令和4年3月30日に消費者庁が『食品添加物の不使用表示に関するガイドライン』(※2)を策定。商品パッケージなどへの「○○無添加」「○○不使用」という表示に一定の基準を設けました。
これは、消費者の誤解が生まれやすい表示を改善させるためのもの。「何を添加していないのか不明確な表示」「無添加あるいは不使用を健康や安全の用語と関連付ける表示」「無添加や不使用の文字などが過度に強調されている表示」など、食品表示基準で禁止事項に該当する恐れがある不使用表示の基準を10項目に分けて明記しています。
疑問③オーガニック野菜と一般的な野菜に違いはある?
中には「実際に食べてみると一般野菜との違いが分かりづらい」と感じている方もいるかもしれません。
そもそも「美味しい」という評価は人それぞれ異なるもの。ネット上では「野菜本来の風味や甘みなどを強く感じられる」「青臭さや苦みが少ない」などといったポジティブな意見も多数見られます。
ですので、疑問の答えは、△。
ただ、
・化学物質による潜在的な健康リスクが軽減される
・環境に優しい生産方法を採用しているため、環境負荷が低い
という2点においては、YESと言えるのではないでしょうか。
身体に、環境に、優しいオーガニック。政府の支援も強化されるなど、国としての取組みもあり、今後益々広がることも予想できます。メニューに取り入れる際には参考にしていただければ幸いです。
※1 農林水産省『有機農産物の日本農林規格』
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/attach/pdf/yuuki-266.pdf
※2 消費者庁『食品添加物の不使用表示に関するガイドライン』
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_220330_25.pdf