飲食業は、比較的離職率が高い職種(※1)。スタッフが定着してくれないという悩みを抱えている方は少なくないかと思います。
離職率が高い理由としては、労働時間の長さや業務量の多さ、そして将来への不安などが挙げられます。特に若い世代のスタッフにとっては、将来の見通しが立てにくければ大きな不安の種となるでしょう。
では、これに対してどのような対策があるのでしょうか。対策の1つが、資格取得の支援。実際、一部の外食企業でもこの取り組みを導入しています。
今回は、飲食店で役に立ちそうな資格を数ある中からピックアップしてご紹介します。
(※1)厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概要」
お店側のメリット
資格の取得は、スキルアップやキャリア形成に繋がるので、スタッフにとっては将来不安を払拭できる要因になります。資格取得を会社(お店)が支援することで、スタッフのエンゲージメントが高まるので、離職率の低下が見込めるようになります。
また、お店に資格を持つ従業員がいることで、生産性の向上や集客効果が高まるなど、多くのメリットが得られる可能性も生まれます。
飲食業に役立つ資格リスト
ホール業務に役立つ資格・検定
・レストランサービス技能士
飲食全般に対する専門的な知識が求められる国家資格。食品衛生や食品に対する知識、レストランでのサービスや食文化、関係法規などなど、深い知識が求められます。
・接客サービスマナー検定
接客サービスの基本やビジネスマナー、クレーム対応など、幅広い接客スキルを審査する検定。飲食店だけでなく、小売業などでも役立ちます。
厨房業務に役立つ資格・検定
・調理師
調理技術や食に関する専門的な知識を有していることを証明する国家資格。取得するには、専門学校などで学ぶか、中学校を卒業した上で2年の実務経験を積み試験に合格する必要があります。
・フードコーディネーター
食に関する幅広い知識やフードビジネスの専門的・実践的な知識などが求められる資格。メニュー開発はもちろん、内装デザインやテーブルコーディネートなどのスキルの習熟度が測られます。
・製菓衛生師
製菓の技術や衛生学、食品添加物などに関する専門知識を有していることを証明する国家資格。取得するには、都道府県知事の指定する製菓衛生師養成施設において1年以上製菓衛生師として必要な知識及び技能を修得するか、中学校を卒業した上で2年の実務経験を積み試験に合格する必要があります。パティシエや和菓子、パン職人なども取得する資格です。
ジャンル別 専門知識を要する資格・検定
・ワインソムリエ
ワインに関する幅広く深い知識、テイスティング能力、サービスのスキルを求められる資格。著名な資格だけにお店に在籍していれば、「ソムリエがいる店」と謳うことができます。
・唎酒師
酒類全般の基礎知識や日本酒に関する深い知識、提供方法、テイスティング能力などが求められる資格。“日本酒のソムリエ”とも呼ばれます。ソムリエ同様「唎酒師がいる店」を謳えます。
・コーヒー鑑定士
コーヒーの原料調達や製造管理、品質管理など、高度で専門的なコーヒーの知識と鑑定技術を要する資格です。
・カフェプランナー
カフェの開業・運営をサポートする資格。不動産・建築、内装・設備、メニュー開発、サービスや人材、コスト管理など、カフェビジネスに関する総合的な知識とプロデュース力が求められます。
・野菜ソムリエ
野菜・果物の目利き、栄養、素材に合わせた調理法など、野菜・果物の幅広い知識が求められます。
・バーテンダー
バーテンダーとしての知識やスキルを証明する認定資格。カクテルなど酒類の知識や、フルーツカッティングやステアなどの実技試験で審査されます。
資格取得支援の手段
では、お店側が従業員の資格取得を支援するには、どのような方法があるのでしょうか。大きく分けると以下の3つが挙げられます。
・資格を取得後に給料に資格手当として毎月反映する。
・資格を取得した際にお祝い金を支給する
・資格取得にかかる勉強代や試験代などの費用の一部、もしくは全額を負担する
上記のうち、資格手当の目安としては5,000円〜30,000円、お祝い金としては5,000円~200,000円程度が一般的のようです。
ここで紹介したのは、ごく一部。他にも様々な資格や検定があります。
その中から、自身のお店にメリットがある資格・検定を取得するようにお店側がアテンドしてあげることが大切です。
従業員のモチベーションを上げ、そしてより良いお店にするための対策として資格取得支援を検討してみてはいかがでしょう。