人手不足が深刻化する飲食業界。外国人労働者の雇用を検討している方も多いのではないでしょうか。
厚生労働省による「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(※)では、令和5年には外国人労働者数は初の200万人を超えたと公表されていますが、中には雇用手続きや言語・文化の違いなどから、どのように雇い、教育すれば良いのか分からないという方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、飲食店が外国人労働者を雇用する際の手続きの流れや、実際に雇って接する際に気を付けたいことなどを解説します。
※厚生労働省『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001195785.pdf
※この記事は2024年10月時点の情報をもとに執筆しています。
外国人労働者雇用のメリット
外国人労働者の雇用は、単純に労働力となるだけでなく、お店に様々なメリットをもたらしてくれる可能性があります。
例えば、自国の食文化やサービスのアイデアを持っているため、活かすことができれば店舗に新たな価値をもたらしてくれるでしょう。また、インバウンドが増加している現状においては、お客様とのコミュニケーションの手助けになることも。さらに、従業員同士の交流を通じて、日本人従業員にグローバルな視点が養われることで、顧客対応の幅も広がるでしょう。
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外国人労働者を雇用するには?
求人募集の方法としては、求人募集サイトで広告を出す、外国人労働者用の人材紹介会社を通して募集するといった方法が考えられます。費用をかけないのであれば、SNSを活用したり、語学学校に求人募集の情報を共有してもらったりといった方法も。
募集がきたら面接を行うという流れは、日本人の求人募集とそれほど変わりません。
そして雇用したいと思う人材が決まったら、下記2点を確認しましょう。
在留資格
在留資格とは、出入国管理及び難民認定法上の資格のことで、外国人に対する滞在許可・活動許可としての機能を持ちます。よくビザと混同されますが別物で、「ビザ(査証)」は日本に入国する前に発行される入国許可証であるのに対し、在留資格は外国人が日本に滞在する際に、どのような活動を行えるのかを定めたものになります。
在留資格の中で、外国人労働者が日本に一定の期間滞在し、外食産業で働くためには「特定技能」を取得している必要があります。その他、調理であれば「技能」という在留資格でも就労は可能です(※名称は似ていますが「技能実習」とはまた別の在留資格です)。
永住者や日本人もしくは永住者の配偶者等であれば就労制限がない在留資格を持っているため、問題なく雇用できますが、「留学」「家族滞在」「短期滞在」といった就労できない在留資格もあるので、しっかり確認することが大切です。ただし、こうした就労不可の在留資格でも、出入国在留管理局から「資格外活動許可」を受けることができれば、週に28時間を上限としてアルバイトで雇うことはできます。
在留カード
在留カードは、日本に住む外国人のための身分証明書のようなもの。国籍、名前、生年月日、住所などのほか、働くことはできるのか、何の仕事ができるのか、いつまで日本にいられるか、などが分かります。
持っていない外国人は、原則として日本で労働することはできません(※特別永住者を除く)。在留カードがない場合、不法滞在のケースもあるので、面接の際に必ずコピーをとりましょう。
手続きの流れ
「在留資格」「在留カード」を確認し、雇用を決めたら入社の手続きになります。
まずは雇用契約書。日本語と外国人の母国語の両方の言語で雇用契約書を作成し、労働契約の締結を行います。
その次は在留資格についての各種申請です。これは、雇用する外国人が取得している在留資格によって異なるので下記ご参考ください。
「特定技能」を取得している場合は、転職する際に在留期限が残っていても改めて「在留資格変更申請」が必要です。
「技能」を取得している場合は、法務省令で定める手続により14日以内に地方出入国在留管理官署に「活動機関に関する届け出」を提出することが必要です。
また、外国人を雇用する事業主には、外国人の雇入れ、離職の際に、その氏名、在留資格などについて確認し、ハローワークへ届け出ることが義務づけられています。
※外国人を雇用するためには様々なパターンがあり手続きが複雑ですので、専門家や行政にも必ず確認をするようにしましょう。
外国人労働者と上手に付き合うコツ
外国人労働者の雇用は、多くのメリットがありますが、職場に上手く馴染んでもらうためには準備やコツが必要です。
例えば、日本語が分からない労働者の場合は、日本語の研修や多言語対応のツール導入を検討する必要があります。
また、国によって文化や価値観が異なるので、従業員同士が文化の違いを理解し、お互いを尊重し合う雰囲気を作ることも重要です。
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外国人労働者の雇用は、日本人の雇用と勝手は違うものの、飲食店にとって新たな可能性を広げるチャンスでもあります。本記事が、外国人労働者の雇用を検討している方の参考になれば幸いです。