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食肉卸 バイヤーのココだけの話

旨い話のウラ側 ~「旨味」の秘密~

濃厚な旨味、深い旨味、華やかな旨味……。肉選びのためにリサーチしていると、よくそんな表現に出会いませんか? 貴店が美味しい肉を求めれば求めるほど、この「旨味」というワードからは逃げられない宿命。でも、いったい旨味って何なのでしょう? よく考えれば「旨味」と書くのが正しいのか、「うま味」なのか、表記もさまざまです。
今回は旨味の秘密に迫りながら、その旨味がたっぷりな地鶏も紹介してしまう、2度美味しい記事です!

※画像はすべてイメージです

「旨味」と「うま味」

「うま味」が世界的に認知されたのは、つい最近。味を感じる器官の味蕾にうま味の受容体が2002年に発見されてから。

「うまみ」の表記には漢字の旨味・旨みとひらがなのうま味があります。実はこの2つは、同音異義語。どちらも間違いではなく、ちゃんと意味の違いがあります。

漢字の旨味・旨みは“おいしい”という感覚を表す言葉。一方、ひらがなのうま味は“味覚”を表します。甘味・酸味・塩味・苦味と同じく、うま味は食品の味を構成する5つの基本的な味覚のひとつです。うま味は甘味、塩味といったほかの“味覚”と複雑に絡み合い、食品のおいしさを形づくります。

ちなみに英語に訳すと旨味は“Delicious”、うま味は“Umami“。英語圏にはうま味を意味する単語がないので、日本語がそのまま流用されています。このうま味の名付け親は、日本で明治~昭和に活躍した科学者の池田菊苗博士。1908年、池田博士は昆布の煮汁からグルタミン酸を発見し、その味をうま味と命名しました。その後も日本から多くのうま味成分が発見され、さらなる研究が進んだ現在では“Umami“は世界共通語となっているのです

うま味成分の種類

チーズや味噌など、うま味成分は熟成や発酵によっても増える

ではそのうま味成分にはどんなものがあるのでしょう? 代表的なうま味成分としては、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などが挙げられます(下図参照)。

代表的なうま味成分

名称名称代表的な食材
グルタミン酸アミノ酸系こんぶ、トマト、玉ねぎ、チーズ、醤油、味噌
イノシン酸核酸系鶏肉、豚肉、牛肉、鰹節、煮干し
グアニル酸核酸系干し椎茸、ポルチーニ茸
コハク酸有機酸系貝類

このうま味成分、実はさらなる秘密があります。アミノ酸系と核酸系の2種類のうま味成分を掛け合わせると、感じるうま味がより強力になります。これを「うま味の相乗効果」と呼びます。最もポピュラーなのが、肉類に多いイノシン酸と、植物類に多いグルタミン酸との掛け合わせ。香味野菜と鶏肉から出来る白湯スープや、鰹節と昆布の出汁2種を合わせた和風出汁の美味しさにも、そんな科学的な裏付けがあったのです。

もちろん、これらの成分だけが旨味を決めるのかというと、一概にそうと言えません。例えば、肉の旨味は肉本来のうま味成分に加えて、脂の甘み・融点、鮮度(熟成具合)、香り、食感など様々な要素から成り立っています。ブランド肉を選ぶ際には、そうした要素と共にうま味成分のデータに注目してみると面白いかもしれません。

うま味たっぷり! 地鶏「阿波尾鶏」

「阿波尾鶏」のネーミングは当時の徳島県畜産研究課の職員がダジャレで呼んだのがきっかけ

さきほど肉類にはイノシン酸が多いと説明しましたが、中でも鶏肉は、このうま味成分を多く含む食材です。特に地鶏にはイノシン酸を豊富に含む種類が多く存在し、その中で生産羽数日本一に輝くのが阿波尾鶏。徳島産の軍鶏とブロイラーのホワイトプリマスロック種から生まれた地鶏です。下図が阿波尾鶏の成分をブロイラーと比較した図になります。

阿波尾鶏とブロイラーの成分比較

比較項目阿波尾鶏ブロイラー
成分
(むね肉:g/100g)
たんぱく質23.821.1
脂質0.51.5
イノシン酸※10.260.18

調査:徳島県立農林水産総合技術支援センター畜産研究課

その食感はブロイラーほど水っぽくなく、軍鶏よりも柔らかく粘りがあるのが特徴。軍鶏とブロイラーの長所を併せ持つ肉質です。豊富なうま味成分による豊かな旨味とコク。その栄養はブロイラーより低脂肪・高たんぱくで、ヘルシーさも強みとする地鶏です。

阿波尾鶏が育つのは徳島の自然の中、飼育密度1㎡あたり10羽以下の広々とした環境。鶏たちは平飼いで約75日間、丹念に飼育されます。仕上げに与える専用飼料には、乳酸菌や酵母に加え、県の特産品であるすだちの粉末を混合。徳島ならではの工夫も重ねながら阿波尾鶏は丹念に育てられるのです。平成10年以来、25年連続で地鶏生産羽数日本一を記録するなど、市場で圧倒的シェアを誇る阿波尾鶏。平成13年には、地鶏として認定されるのに必要な規格「地鶏肉JAS」の国内第1号となっています。

プレコフーズではこの冬、阿波尾鶏のラインナップがさらに充実。ひと口サイズにカットしたもも肉手羽元手羽元ひらきが新たな規格として加わりました。好評発売中のむね正肉もも正肉、手羽先などと併せて、鍋料理や煮込み・唐揚げなど、幅広いメニューで活躍すること間違いなしの阿波尾鶏。その「うま味」たっぷりの「旨味」をぜひ貴店でもお試しください!

参考文献
うま味インフォメーションセンター“うま味の基本情報”. https://www.umamiinfo.jp/what/whatisumami/
日本うま味調味料協会“うま味ってなんだろう”. https://www.umamikyo.gr.jp/knowledge/

プレコフーズの阿波尾鶏
全ラインナップはこちらのリンクから

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