観光庁の統計によると、訪日する外国人観光客が挙げる“最も満足した飲食”のトップは「肉料理」だそうです。※
そんな肉好き訪日客の皆さんに「日本にはサムライが生んだ、100年以上の歴史を誇る美味しい鶏肉がある」って教えたら、ちょっと興味持ってくれそうですよね。その肉の名は「名古屋コーチン」。そう、あの地鶏界のレジェンドです! 今回は名古屋コーチンの、実は波乱万丈なヒストリーをご紹介します。
※国土交通省観光庁 観光戦略課観光統計調査室.“訪日外国人の消費動向”.観光庁HP.2023-9. https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/content/001633003.pdf,(参照 2024-07)
サムライ養鶏家、見参!
名古屋コーチンの故郷である愛知県は、江戸時代後期から武士の副業として養鶏が行われていた土地。明治維新後、失業した旧尾張藩士に対して養鶏業が斡旋されることも多かったようです。名古屋コーチンの生みの親となる海部壮平・正秀の兄弟も、そんな“明治の就職氷河期”のサムライでした。
養鶏を生業に選んだ若い兄弟でしたが、2人はまったくの素人。借金に追われ、シラミの流行や伝染病による鶏の大量死に苦しみ、その歩みは困難の連続でした。やがて兄弟は、肉質と産卵能力に長け、飼養しやすい鶏を目指して品種改良に没頭するように。そして、兄弟は中国産の大柄な鑑賞用鶏「バフコーチン」に出会います。このバフコーチンと岐阜地鶏を交配し、明治15年頃、ついに名古屋コーチンが生まれるのです。
絶滅のピンチ!?
当初は兄弟の名前から、「海部鶏」とも呼ばれた名古屋コーチン。その強健さと肉質の良さ・産卵能力は高く評価され、名古屋から日本全国に広まるなかで「名古屋コーチン」という呼び名が定着します。
明治38年には日本家畜協会から国産実用品種第一号の鶏として公認。晴れて全国区の品種となる名古屋コーチンでしたが、やがて戦争の影が忍び寄ります―。第二次大戦末期から直後にかけて、他の家畜と同じく食糧難と飼料不足により、名古屋コーチンも飼育数が激減します。さらに戦後は大規模飼育に適した輸入種との競争にさらされ、昭和30年代には県の種鶏場に残された名古屋コーチンの飼育数はとうとう約300羽に…。このままでは貴重な品種ごと途絶えてしまうかもしれません。がんばれ! 名古屋コーチン!
そして地鶏界のレジェンドに
一方で昭和40年代に入ると、消費者から、昔ながらの鶏肉「かしわ肉」の味を懐かしむ声が上がるようになります。「かしわ肉」は輸入種が日本に入る以前に親しまれた鶏肉のこと。まさしく名古屋コーチンの味わいだったのです。声を受けた自治体、養鶏家や料理店などが手を組み、種鶏の確保や繁殖技術の研究など、復活への取り組みが始まります。
これまで産卵用に改良を重ねるあまり小型化していた名古屋コーチンを、もう一度明治期と同じくらいの大きさに戻して、より肉厚な品種に改良する試みが行われました。その結果、昭和58年には大型の改良種が誕生。さらなる普及活動により「愛知県ならではの特産品」「美味しい高級地鶏」として、名古屋コーチンは新たなブランドを獲得していきます。そして、平成17年の愛知万博でのPR活動をきっかけに、その知名度を再び全国区へと高めていったのです。
まとめ
意外にも山あり谷ありだった名古屋コーチンの歴史。その不屈のスタイルは我々もぜひ見習いたいところです。
さて、プレコフーズではこの名古屋コーチンの「もも正肉」「むね正肉」を、10-15gにカットした独自規格で商品化。使いやすい切り身小パックでご提供します。長~い歴史を勝ち抜いてきたそのブランド力と知名度は圧倒的。「かしわ肉」を彷彿とさせる旨味たっぷりの味わいをメインディッシュに活用すれば、インバウンド対応にも嬉しい効果があるかもしれません。ぜひお試しください!
パサパサせずにしっとり仕上がる肉質名古屋コーチンムネ(愛知県/冷凍)・10-15gカット/100g |
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【参考文献】
さんわコーポレーション,“名古屋コーチン特設サイト”, https://www.sanwa-grp.co.jp/nagoyacochin/
さんわコーポレーション、“名古屋コーチンの歴史” https://www.3030.co.jp/index.php/trivia/no40/
さんわコーポレーション、“意外と知らない!名古屋コーチンの歴史” https://www.3030.co.jp/trivia/no18/
テレビ朝日,“食彩の王国 第135回『名古屋コーチン』” https://www.tv-asahi.co.jp/syokusai/backnumber/0081/
一般社団法人 名古屋コーチン協会,“名古屋コーチン” https://www.nagoya-cochin.jp/02_about/02_01_growth/index.html