本講座では、炭の焼き台と焼鳥店で使う炭について解説します。
炭の焼き台の特徴
一般的な炭の焼き台は、炭を並べる炭床があり、そこに風を送り込む窓があるシンプルな構造です。炭は、火を熾すのに時間がかかる上、火力調整には知識と経験が必要なため、ガス・電気と比べて使い勝手が良いとは言えません。火力は、使用する炭の種類で変わります。
焼鳥店で使われる炭
焼鳥店で使う炭は、自然木を原料とする備長炭(※)とオガクズを原料とするオガ炭の2種です。
(※)ウバメガシ・カシを原料とするもののみを「備長炭」とする規格もありますが、近年では、外国産も含め自然木を原料とするものを「備長炭」と呼ぶことが一般化しています。PRECO焼鳥学では、これに倣って解説します。
備長炭
【 製法 】
自然木を原料とし、1200℃以上(※)の窯の中で焼成して炭化させた後、窯の中に酸素を送り込んで精錬。窯の外に出して素灰(灰や砂を混ぜたもの)をかけて消火し作られます。この素灰が表面に付着することで白っぽく見えるため、白炭とも呼ばれます。
※国産備長炭の場合
【 特徴 】
密度が高く硬いため、叩くと金属のような音がします。火が着きづらく爆跳もありますが、安定するとオガ炭よりも高い火力が長時間続きます。
【 国産と外国産 】
国産は、備長炭発祥の地・和歌山県産の『紀州備長炭』、高知県産の『土佐備長炭』、宮崎県産の『日向備長炭』が日本三大備長炭として知られています。硬度の高いウバメガシやカシを原料に、不純物がなくなるまでじっくりと炭化。1000℃に達する高熱と5~6時間持つという火持ちの長さが特徴です。ブランド力の高さもあり、価格が高額なので、主に高級店で使われます。
外国産は、現在ラオス産が主流。原料はマイテューという木材で、硬度が低いため、国産備長炭に比べて火力が弱く、火持ちもほどほど。しかし、比較的安価なため、大衆店でよく使われています。
〈参考データ〉※プレコフーズと取引のある炭の販売業者へのヒアリングのもと作成
燃焼時の温度 | 価格 | |
紀州備長炭 | 800~1200℃ | 1300円/kg |
土佐備長炭 | 800~1200℃ | 1100~1150円/kg |
日向備長炭 | 700~1000℃ | 1000円/kg |
ラオス産 | 400~600℃ | 500~550円/kg |
※価格は2024年1月時点の市場価格を参考にしています。
※天然木を原料とするため、温度など品質にばらつきがあります。購入の際は販売業者にご確認ください。
オガ炭
【 製法 】
オガクズを高温・高圧で固めたものを原料として、備長炭と同じ製法で作られます。
【 特徴 】
備長炭に比べて、火力が弱く火持ちも短いものの、爆跳が少なく、価格が安いのが特徴です。大衆店で使われる他、高級店でも火熾しや営業中の継ぎ足し用に使われています。
【 国産と外国産 】
人工物のため、銘柄によって品質は様々です。国産の方が外国産に比べて、燃焼時間が長く火力が強いのが一般的です。一方の外国産は、燃焼時間や火力は劣りますが、価格は安価です。
〈参考データ〉※プレコフーズと取引のある炭の販売業者へのヒアリングのもと作成
燃焼時の温度 | 価格 | |
国産 | 300~350℃ | 350円/kg |
外国産 | 200~250℃ | 250円/kg |
※価格は2024年1月時点の市場価格を参考にしています。
※温度は銘柄や使用する環境によって変わってきます。購入の際は販売業者にご確認ください。