前講座で触れた通り、丸鶏を仕入れて店内で捌くためには、ト体であれ、中抜きであれ、相応の資格や技術が必要です。本講座では資格を取得するための条件や丸鶏の捌き方について解説します。
※丸鶏:部位ごとに切り分ける前の一羽丸ごとの状態を示す呼称
ト体:鶏の血を抜き(放血)・羽を抜いた(脱羽)だけの丸鶏
中抜き:ト体から内臓類を除去した状態の丸鶏。
ト体を捌くための条件
ト体で仕入れて解体するためには、所在地を管轄する都道府県知事の「食鳥処理業の許可」が必要です。その条件には、既定の衛生基準をクリアしていることや「食鳥処理衛生管理者」の資格を持つスタッフが在籍していることなどが挙げられます。
「食鳥処理衛生管理者」とは、食鳥処理を衛生的に管理するための国家資格。食鳥処理場ごとに法律で定められた人数を配置しなければなりません。
その上、この資格の取得条件はハードルが高いものです(取得条件の詳細は以下)。
『食鳥処理衛生管理者』の取得条件 |
下記1~4のいずれかに該当する者
(食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第12条第5項) |
中抜きからとれる部位
中抜きであれば「食鳥処理業」の許可がなくても、仕入れて解体することが出来ます。
中抜きには、内臓類はありませんが、もも肉やむね肉、ささみ、手羽先、手羽元、皮といった主要部位はもちろんのこと、せせりやヤゲンナンコツ、ヒザナンコツ、ボンチリ、腹身といった希少部位があります。加えて、ガラはスープに適しているので、一羽分丸ごと無駄なく使用することが出来ます。
手作業で丸鶏を捌く方法
一般的に丸鶏を手作業で捌く時は、ト体・中抜きの区別なく「外剥ぎ方式」と呼ばれる手法で捌かれます。
「外剥ぎ方式」は、もも肉やむね肉、手羽など、身体の外側に付いている部位から順番に外していく手法。ト体を捌く場合は、内臓を傷つけずに解体できる捌き方とされています。
中抜きには、内臓はありませんが、外側から外していくので、ガラに付いているササミを外すまでの工程は共通です。
是非ご参考にしてください